子供の矯正治療(Ⅰ期治療)
子供の矯正治療について
子供の矯正治療は、体の成長発育と大きく関わっており、適切な時期に始めることが重要です。噛み合わせや歯並びの悪さは、あごの成長にも影響を与える場合があります。成長期に矯正治療を行うことで、上下のあごのバランスを整えるとことができるのが、この段階の治療の特徴です。
当院では、お子さまの歯並びの状態や成長発育の状況を考慮し、またご要望をお聞きした上で、最も効果的な時期をアドバイスさせていただいております。
口腔習癖(お口の癖)と歯並び
歯並びが悪くなる原因として、口腔習癖が関係しております。口腔習癖とは、日常生活で無意識にしてしまうお口に対する良くない癖のことです。最近、口呼吸や舌突出癖等の口腔習癖を持つお子様をよく見かけます。こういった習癖の放置は、成長期の子どもの歯並びにも影響します。
歯列に影響を与える習癖
●指しゃぶり
乳幼児期の指をしゃぶる癖は生理的な現象ですので、無理にやめさせる必要はありませんが、この癖が定着すると、開咬や上顎前突を引き起こす原因となります。3歳ぐらいまでに自然にやめれば、咬合異常も自然に治りやすいのですが、5歳になっても続けているようであれば、治療が必要となる割合が高くなります。
●下唇をかむ癖(咬唇癖・吸唇癖)
下唇を咬んだり吸ったりすると、上下の前歯に持続的な力が加わり、上の前歯は前方に、下の前歯は後方に倒れ、上顎前突(出っ歯)や、過蓋咬合(前歯のかみ合わせが深く)を引き起こす原因となります。
●ほおづえ、うつぶせ寝
ほおづえやうつぶせ寝は、頭部の重量が下あごの骨にのしかかってくるため、歯列の形態やあごの発育に悪影響を与えます。成長期に影響を受けやすく、顔の変形や下あごの成長を抑制する原因となります。
●舌癖
何かに集中しているときにお口がポカーンと開けたまま舌が突き出したり、舌を前につき出して前歯を押すようにして飲み込んだりする動作を舌癖といいます。私たちは、1日に約600回飲み込む動作を行います。繰り返される前歯への圧力は、開咬や上顎前突、下顎前突などを引き起こす原因となります。また、矯正治療中にも影響を与え、治療期間の延長や、治療後のあと戻りを起こすことがあります。
▼舌癖により前歯が開きかみ合わない症例 |
▼舌癖により犬歯・小臼歯が開きかみ合わない症例 |
正常な飲み込みは、下図のように舌が上あごについたまま、唇を軽く閉じた状態で起こります。リラックスしている時も、自然に舌が上がり、上顎にぴったり収まっています。
MFT(口腔筋機能療法)
舌を正しく使って飲み込むために、口腔周囲の筋肉トレーニングを行うことをMFTと呼びます。矯正治療がスムーズに進み、治療後の良い歯列をキープするためにも、この療法は大変重要です。
1期治療と2期治療について
1期治療とは、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する段階)で行う矯正治療、2期治療とは、永久歯列の段階で行う最終的な矯正治療を言います。1期治療は、2期治療を円滑に行えるように、顎骨の成長を利用した矯正治療が中心となります。1期治療を行うことで2期治療が必要なくなる場合、または1期治療を行わずに2期治療開始まで経過観察となる場合もあり、症例によって様々です。
装置の見た目について
装置の見た目や装置の違和感などが気になるという理由で、抵抗を感じている方もいらっしゃると思います。当院では、前歯4本に審美ブラケットを使用した装置が標準仕様となっています。
子供の矯正治療のメリット
1.あごの成長を整え、効果的な治療ができる。
出っ歯や反対咬合など、早期に改善することで、上下のあごのバランスを整えることができます。上下のあごの調和を図ることで、不要な習癖を抑制したり、外科手術へのリスクを避けたりすることが出来ます。
2.歯の生え変わりの環境を整える
永久歯を正しい位置に導くことにより、あごや口腔機能の正常な発育が期待できます。また、2期治療の期間短縮へとつながります。
3.虫歯や歯周病を予防できる
予防で必要なのは、患者さんが十分なセルフケアを行うことです。歯並びが悪いことにより、歯ブラシが当たりにくい場所ができ、磨き残しは虫歯や歯周病のリスクを高めます。歯並びの改善は、歯磨きを容易にし、それらのリスクを減らすことができます。
4.口腔習癖を改善できる
小児期に、お口の悪い癖の改善やお口の周りの筋肉のトレーニングを行うことによって、正常な口腔機能やあごの成長を獲得できます。
5.咀嚼機能の回復
歯並びの悪さは咀嚼(そしゃく)にも影響してきます。矯正治療によって、機能が回復し快適な食生活が送れるようになります。